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とりあえずExcel卒業:誰でも実践できる“ゆる強”Excel術— 小さく始めて、勝手にキレイになっていく仕組み

  • 最初から“完璧ルール”はいらない。5つの超ミニルールで十分スタートできる。
  • キモは「原文を残す」「正名に寄せる」「例外は辞書に吸収」。
  • 1か月で、表記ゆれが勝手に減る“セルフクリーニング”運用へ。

まずはこの5つだけ(今日から)

1) ファイル名を“時系列で並ぶ”ように

YYYYMMDD_案件_版数.xlsx
例)20251018_購買明細_v1.xlsx

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  • 目的:最新版を迷わない。差分が追える。
  • 迷ったら YYYYMMDD_名称_v1.xlsx だけでOK。

2) 最小スキーマ(12列)だけは固定

「とりあえず入れる」がゴミ化する最大要因は“列が毎回違う”こと。下の12列だけ固定して、他はメモ列に逃がす。

日付 / 取引先原文 / 取引先ID / 取引先正式名
品目原文 / 品目カテゴリ
数量 / 単位原文 / 単位(正)
単価 / 金額 / 税区分
(任意)メモ / 担当 / 確定✔ / 更新日

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ルールは「原文は消さない(後で見返せる)」+「正に寄せる列を別にもつ」。


3) すべてを“テーブル化”(Ctrl+T)

  • 範囲を選択 → Ctrl+T → 「先頭行をテーブルとして使用」にチェック
  • 効果:ヘッダー固定・オートフィル・フィルター標準装備。新行にも式が自動で入る。

4) 入力規則で“表記ゆれ”を未然に防ぐ(最低2つだけ)

「単位」「税区分」だけドロップダウンに。

  • 「データ」→「データの入力規則」→ リスト
    • 単位:m², m, 個, 台, 本, 箱(あとで増やせばOK)
    • 税区分:税込, 税抜

迷っても入力できるように単位“原文”列は自由入力のままにしておく(後で正に寄せる)。


5) 変換は“辞書表”で寄せる(XLOOKUP 1本でOK)

別シートに辞書を置き、原文→正名へ寄せる。最初は10行で十分。

シート名:辞書_取引先

A列: 原文            B列: 正式名                  C列: 取引先ID
(株)ヨズボシ       株式会社YOZBOSHI             CUST-0001
YOZBOSHI(株)        株式会社YOZBOSHI             CUST-0001
ヨズボシ            株式会社YOZBOSHI             CUST-0001

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シート名:辞書_単位

A列: 別名   B列: 正式単位
平米       m²
㎡         m²
m2         m²
本         本
台         台

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明細テーブル側の式(例:行2)

C2: =XLOOKUP(B2, 辞書_取引先!A:A, 辞書_取引先!C:C, "")
D2: =XLOOKUP(B2, 辞書_取引先!A:A, 辞書_取引先!B:B, B2)
I2: =XLOOKUP(H2, 辞書_単位!A:A, 辞書_単位!B:B, H2)
K2: =IF(AND(ISNUMBER(G2),ISNUMBER(J2)), G2*J2, "")

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  • できるだけXLOOKUP。古いExcelなら VLOOKUP でもOK。
  • 迷ったら、まず原文を入れる→辞書に追加→勝手に揃う流れに。

ここまでやれたら“+α”で効く補助ルール

  1. 小計・合計は別シート(明細と混ぜない)
  2. 数量は数字だけ(「10箱」→ 数量=10, 単位=箱)
  3. 日付はYYYY-MM-DD(列の表示形式で固定)
  4. 税区分は必須(ドロップダウン)
  5. 確定✔/担当/更新日の3列を“監査”としてもつ
    • 更新日:日付セルで Ctrl + ;(今日の日付を固定)

NG→OK 例(そのまま貼れる指差し確認)

NG(ありがち)OK(ゆる強ルール)2025/10/18 9時 請求データ20251018_請求明細_v1.xlsx合計列が明細と同じ表内集計は別シートに。明細は明細だけ数量: 10箱数量=10 / 単位=箱 に分離単位: ㎡/m2/平米混在単位(原文)は許容、単位(正)は辞書でm²に寄せる㈱/(株)/カタカナ揺れ取引先原文は保持、正式名/IDは辞書で寄せる


30日で「勝手にキレイ」を作る導入プラン

Week 1

  • 最小スキーマ12列でテーブル化(Ctrl+T)
  • 「単位」「税区分」をドロップダウン化
  • 辞書シートを2つ作る(取引先/単位)、10行だけ登録

Week 2

  • 日々の“揺れ”を見つけたら辞書に追記(3分運用)
  • 既存分も原文は触らず、正列が自動で揃うのを確認

Week 3

  • 集計は別シートで SUMIFS/ピボット に統一
  • 確定✔/担当/更新日を運用にのせる

Week 4

  • 直近1,000行を点検して辞書の穴TOP10を埋める
  • 以降は“辞書追記だけ”を週イチ5分

ポイント:現場の自由度は残す(原文列)。管理の一貫性は辞書で担保(正列)。これが“ゆる強”。


よくある詰まりどころ(Q&A)

Q. 最初の辞書づくりが面倒…
A. 10行で十分。出てきた揺れを足す方式にすれば、初期負荷ゼロで回る。

Q. 過去データはどうする?
A. いじらない。原文はそのまま、正列だけ辞書で後追い整備。

Q. 間違った辞書で全体が誤変換しない?
A. だからこそ原文列は消さない。誤りに気づいたら辞書1行直すだけで全体が即修正

Q. XLOOKUPが使えないExcelです
A. =IFERROR(VLOOKUP(B2, 辞書_取引先!A:C, 3, FALSE), “”) のように代替可能。


仕上げ:コピペ用“スターター”行

辞書_取引先(先頭5行の例)

原文,正式名,取引先ID
(株)YOZBOSHI,株式会社YOZBOSHI,CUST-0001
YOZBOSHI(株),株式会社YOZBOSHI,CUST-0001
ヨズボシ,株式会社YOZBOSHI,CUST-0001
(有)ミライ工業,有限会社ミライ工業,CUST-0023

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辞書_単位(先頭5行の例)

別名,正式単位
平米,m²
m2,m²
㎡,m²
本,本
台,台

税区分(入力規則リスト)

税込,税抜

まとめ

  • 完璧主義を捨てる。 最小スキーマ+辞書+入力規則の3点セットで十分。
  • 原文は残す、正に寄せる。 直しやすさ=将来の自由度。
  • 辞書を育てるだけで、Excelは勝手にキレイになっていく。

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ベイカレントにてIT・業務改善・戦略領域のプロジェクトに従事。その後、株式会社ウフルにて新規事業開発を担当し、Wovn Technologiesでは顧客価値の最大化に取り組む。AIスタートアップの共同創業者としてCOOを務めた後、デジタルと人間の最適な融合がより良い社会につながるとの想いから、株式会社YOZBOSHIを設立。2022年2月より現職。

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