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GPT-5.1 性能評価 ― AIが“考える量”を自ら選び始めた時代へ

GPT-5.1が登場してから、界隈では「速い」「賢い」「自然」…いろんな言葉が飛び交っています。
けれど本質はそこではありません。

GPT-5.1の進化は、「評価の軸そのもの」を変えてしまった。

モデルがタスクに応じて“思考量”を調整し、
ときにスピードを上げ、ときにじっくり考え、
人間側の要求に合わせて“重さ”を選んでくるようになりました。

その変化を、どう読み解き、どう実務で評価するべきか。
ここでは、GPT-5.1を“正しく理解するための記事”としてまとめていきます。

1. GPT-5.1の立ち位置:

「高速 × 精度 × 思考最適化」の三軸モデルへ

GPT-5.1は、単なるGPT-5の後継ではありません。

  • 簡単なタスクは高速で処理
  • 難しいタスクは深く考える
  • thinking tokens(思考コスト)を自動で削減・増加

つまり、これまで人がプロンプトで調整していた“思考量”を、
AIが自分で最適化する仕組みが整った、ということです。

ChatGPTでは

  • GPT-5.1 Auto
  • GPT-5.1 Instant
  • GPT-5.1 Thinking

の3種が提供され、用途に応じて使い分けられるようになりました。
“汎用モデル”ではなく、“状況適応型モデル”という表現が近いでしょう。


2. ベンチマークで見るGPT-5.1

数値は「着実な進化」を示している

実務での驚きを語る前に、まずは数字を整理します。

◆ SWE-bench(コード修正タスク)

GPT-5 → 72.8%
GPT-5.1 → 76.3%

コードの「理解 → 修正 → 影響範囲の判断」という
“本物のエンジニアタスク”でしっかり進化。

◆ GPQA(科学系の難問)

GPT-5 → 85.7%
GPT-5.1 → 88.1%

◆ MMMU(マルチモーダル理解)

GPT-5 → 84.2%
GPT-5.1 → 85.4%

大きく跳ねたというより、
専門領域で確実に底上げされたという印象が近い。

特筆すべきは、企業のAIツール開発者が
「GPT-5よりも速くて、正確さまで上がった」
と実運用での改善を報告している点です。

数値以上に“体感が良い”稀有なアップデートと言えます。


3. 実務の現場で感じるGPT-5.1の変化

「軽い仕事は速く、重い仕事は深く」

ここからが本番です。
GPT-5.1の真価はベンチマークでは測りきれません。

① 文章・アイデア生成が異様に速くなった

  • 説明文
  • リライト
  • 見出し作成
  • 小さな仕様書の整理

このへんが明確に“キビキビ”しています。
Instantの反応速度に近いのに、GPT-5レベルの精度が出る。

② 難しいタスクの完遂率が上がった

  • システム設計
  • 仕様の抽象化
  • 大規模コード生成
  • 既存リポジトリの読み込み → 修正案

ここでは逆に、GPT-5より長く考える
「途中で放り投げない」安定性が増した印象です。

③ thinking token の節約が“実質的なコスト削減”につながる

実際のところ、
「同じ仕事なのに、トークン消費が半分」というケースがある。

  • GPT-5 → 約250 tokens
  • GPT-5.1 → 約50 tokens

という事例も報告されています。

“賢さの向上”より“効率の向上”の意味が大きい。


4. GPT-5.1をどう評価すべきか

もはや「正答率」だけの時代ではない

GPT-5.1の評価では、以下の4軸が最も現実的です。


① ベンチマーク(地頭の強さ)

学術的なIQテストのようなもの。
モデルの“基礎能力”はこれで把握できる。


② 完遂率(最後までやり切るか)

実務ではここが最重要。

  • 大規模コード生成
  • エージェント的タスク
  • 仕様の分解と再構築

途中で止まらないことが価値。


③ 手戻り率(修正量)

人間側がどれだけ修正する必要があるか。
GPT-5.1はここが最も改善したポイント。


④ トークン効率(速度×コスト)

GPT-5.1はThinking最適化で
“無駄な思考をしないAI”になった。


この4軸で見ると、
GPT-5.1は「ベンチマークだけでは見えない進化」を遂げています。


5. 導入企業が評価するためのチェックリスト

(保存版)

noteの読者がすぐ使えるように、実務チェックリストとして整理しました。

  • 10件程度の基準タスクを全モデルで比較
  • GPT-5 / GPT-5.1 のthinking量を数値で比較
  • レイテンシ(反応速度)を計測
  • トークン消費の平均を算出
  • 完遂率と手直し時間をセットで評価
  • 安全性は社内ポリシーに合わせてテスト
  • 最後は“コストあたりの成果量”で判断する

このフローで評価すれば、
「どのタスクをGPT-5.1に任せるべきか」
「InstantとThinkingの使い分け」
が明確になります。


6. まとめ

GPT-5.1は、「AIをどう評価するか」まで変えてしまった

GPT-5.1の進化は、単に
「速い」「賢い」「自然」
というレベルでは語れません。

もっと本質的で、もっと大きい。


AIはついに、
“自分で考える量を調整する”段階に入った。


これは、人間がAIを「どう評価すればいいのか」が
抜本的に変わるということです。

ベンチマークでは測れない、
作業の完遂・トークン効率・安定性…

GPT-5.1は、このすべてでバランスを取ることを始めています。

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ベイカレントにてIT・業務改善・戦略領域のプロジェクトに従事。その後、株式会社ウフルにて新規事業開発を担当し、Wovn Technologiesでは顧客価値の最大化に取り組む。AIスタートアップの共同創業者としてCOOを務めた後、デジタルと人間の最適な融合がより良い社会につながるとの想いから、株式会社YOZBOSHIを設立。2022年2月より現職。