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2026年のAI・LLM動向を、いまの延長線で考えてみる

2025年は、LLMが「会話がうまい道具」から「仕事を動かす実行主体」へ寄っていった年でした。APIは“エージェント前提”に再設計され、推論モデルが一般化し、LLMがブラウザやPC操作・音声通話まで“手足”を持ち始める。OpenAI Developers+2OpenAI+2
この流れの延長線上で見ると、2026年は「AIの性能が上がる年」というより、AIが“業務の地形”を塗り替える年になります。

以下、2026年に起きそうなことを、なるべく地に足のついた形でまとめます。

1) 「エージェント」がUIではなく“実務の標準形”になる

2025年に各社が揃って“エージェント実装の部品”を出し始めました。OpenAIはAgents SDKなど、エージェントを作る前提のガイド/SDKを前に出し、プラットフォーム全体も「agent-native」へ寄せています。OpenAI Platform+1
GoogleもGeminiアプリで「Agent Mode」を示し、複数タスクを並列で走らせる方向を強めました。The Verge
Anthropicも“computer use”のように、PC操作を前提とした道具立てを明文化しています。Claude

2026年の変化

  • 「チャットで相談」より、「目的→実行→ログ→差し戻し」までを1本で回す製品が主流になる
  • 人間の役割は 入力 ではなく、承認・例外処理・ルール更新 に寄る
  • “導入効果”の争点が、モデル性能より 業務設計(どこまで任せ、どこで止めるか) に移る

2) “推論”は特別機能ではなく、ルーティングされる「運用の選択肢」になる

推論モデル(reasoning model)は、必要な場面では強い一方でコスト・速度のトレードオフがつきまとう。だから2026年は、常時推論ではなく、タスク難度や安全性で自動ルーティングされるのが自然です。実際、OpenAIはモデルルーター運用を調整しながら進めています。WIRED

2026年の変化

  • 「普段は高速モデル、詰まったら推論モデル」みたいな運用が当たり前に
  • 成果物には“思考”ではなく、根拠(参照ログ、操作ログ、入力差分)が添付される文化が広がる(監査・説明責任のため)

3) “つなぎ方”が戦略領域になる:MCP的な標準が効いてくる

エージェントが仕事をするには、社内データ、SaaS、ローカルファイル、DB、ワークフローと安全に繋がる必要があります。そこで「AIと外部システムをつなぐ共通口」としてMCP(Model Context Protocol)のような考え方が前に出てきました。Anthropic+2modelcontextprotocol.io+2

2026年の変化

  • “RAGを頑張る”から、コネクタと権限設計を整えるのが先になる
  • 企業内では「AI導入」より「AI接続のガバナンス(誰が何にアクセスできるか)」が主戦場に

4) 「端末内AI」が現実解になる:プライバシーが性能指標に入る

Appleがオンデバイス(約3B規模)とサーバーモデルを併用する設計を技術的に開示しているように、体験と機密の両面から“端末内で回す”動きは強まります。Apple Machine Learning Research+1

2026年の変化

  • “個人の作業”は端末内、 “組織知”はサーバ側、という二層構えが増える
  • 「データを外に出さない」だけでなく、どこで推論したか(on-device / cloud)を選べることが製品価値になる

5) 2026年は「推論コストが下がる」年になりやすい(ただし“需要”が全部食べる)

2026年初頭のCESでNVIDIAが次世代のVera Rubinを打ち出し、推論トークンコストの大幅削減をうたっています(※主張ベース)。The Verge+2WIRED+2
インフラ側の改善は、モデルの賢さだけでなく、“常時稼働するエージェント”を現実的にします。

ただし、歴史的に「コストが下がると利用量が増える」ので、企業の体感としては
“安くなった”より“回す量が増えた” が先に来ます。

2026年の変化

  • 人件費代替の議論が、「月◯時間削減」から「24時間稼働の準社員」みたいな扱いに近づく
  • その分、失敗時の損害も増えるので、権限・停止条件・監査ログが必須になる

6) 規制は“突然効いてくる”タイプ:EU AI Actが節目を作る

EU AI Actは、2026年8月2日に全面適用(例外あり)という大きな節目を持っています。デジタル戦略
BtoBで欧州に直接関係がなくても、SaaSやクラウドの調達要件・契約条項として波及しやすい。

2026年の変化

  • 「AIを使っているか」ではなく、“どう分類され、どう管理しているか” が問われる
  • プロダクト側では、説明可能性より先に、リスク評価・運用手順・ログが整備対象になる

7) オープンウェイトと企業内モデルの現実化:選択肢が増えるほど“設計力”が差になる

OpenAIが“オープンウェイトモデル”の計画に言及したように、クローズド一択から、選択肢が増える方向は続きます。Reuters
2026年は「何を使うか」よりも、どう組み合わせ、どこに責任境界を置くかが差分になります。


2026年に向けた、現場目線のチェックリスト

  • 止めどころ:エージェントが“実行”する前に止める条件(承認・閾値・例外)を文章化できているか
  • ログ:誰が、何を根拠に、どのツールを叩き、何を変更したかが追えるか
  • 接続:RAGの前に、権限とコネクタ(MCP等)の整理ができているか
  • 二層化:端末内/クラウドの境界を、機密と体験で切れているか
  • コスト設計:安くなった分、回す量が増える前提で“上限”を決めているか
  • 規制耐性:AIを使う運用手順(リスク評価・監査・教育)を最小限でも用意しているか

結局、2026年の勝ち筋は「最新モデルを追う」より、“AIが動ける業務の形”に整えることです。
LLMの進化は続きますが、伸びるのは性能ではなく、運用と接続と統制のほう——この延長線が、一番それっぽい未来です。

image-1024x536 2026年のAI・LLM動向を、いまの延長線で考えてみる

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ベイカレントにてIT・業務改善・戦略領域のプロジェクトに従事。その後、株式会社ウフルにて新規事業開発を担当し、Wovn Technologiesでは顧客価値の最大化に取り組む。AIスタートアップの共同創業者としてCOOを務めた後、デジタルと人間の最適な融合がより良い社会につながるとの想いから、株式会社YOZBOSHIを設立。2022年2月より現職。