いまロード中

建設業でAIって、実際なにに使えるの?【超入門】

「AIって結局、建設の何が変わるの?」
この疑問、めちゃくちゃ自然です。建設業は“現場”が強く、業務も複雑。だからこそ「AI=何でも自動化」みたいな話はだいたい外れます。

でも逆に言うと、“ハマるところ”にだけ使えば、ちゃんと効くのが建設×AIです。
今日は超入門として、現場のリアルに寄せて「AIでできること/苦手なこと」を整理します。

まず結論:AIが得意なのは「判断」じゃなく「下ごしらえ」

建設業の仕事って、大きく分けるとこうです。

  • 情報を集める(メール、紙、PDF、写真、Excel…)
  • 整える(表にする、番号を振る、分類する、過去と比較する)
  • 判断する(積算、是正、承認、段取り、対策を決める)
  • 実行する(手配、指示、施工、報告)

AIが強いのはこの中の 「集める〜整える」
逆に 「判断の最終責任」をAIに丸投げすると事故ります。

なので超入門の考え方はこれだけでOKです。

AIは“代わりに決める人”ではなく、
“決めやすくするために整える人”。


建設業でAIが使えるところ 10選(現場・バックオフィス混合)

1) 書類の読み取り・転記(紙/PDF/手書き)

見積書、請求書、納品書、作業日報、各種報告書…。
これらをAIで読み取って、Excelやシステムに入れる“入口”を軽くできます。

  • 例:PDFの見積明細を拾って一覧化
  • 例:工事写真台帳の情報を抜き出して整理

効く理由:建設は「書類が多い」「形式が揺れる」「人手で打つ」が重いから。


2) “バラバラな表現”をそろえる(表記ゆれ・単位ゆれ)

「㎥」「m3」「立米」「m^3」みたいな世界。
AIはこの“ゆらぎ”を寄せるのが得意です。

  • 例:材料名の別名を寄せる(同義語)
  • 例:単位を統一して集計できる形にする

3) 仕分け・分類(フォルダ整理/案件ごとの振り分け)

  • メール添付を案件別に分類
  • Box / SharePoint / ローカルの“カオス”を整理
  • 「これは見積」「これは契約」「これは議事録」みたいにタグ付け

地味だけど、効くと爆速になります。


4) 検索ができる状態にする(全文検索+“意味”検索)

「この現場の是正指示、前回どう対応したっけ?」
こういう“探す時間”が減るのがAIの価値になりやすいです。

  • 文書の中身まで含めて検索
  • 「似た案件」を引っ張ってくる

5) 議事録・日報・報告書の“たたき台”を作る

AIに全部書かせるというより、

  • 箇条書きを整理
  • 要点をまとめる
  • 次アクションを抽出

みたいな文章の整形係が得意です。


6) 安全書類・手順書・施工計画書の“整合チェック”

AIは「文章の矛盾」「抜け」「表現の不統一」に気づけます。

  • 例:手順の順番が前後してないか
  • 例:必要項目が抜けてないか(ただし最終確認は人)

7) 施工写真の整理(撮りっぱなし地獄からの脱出)

写真に対して

  • 日付・場所・工程の整理
  • キャプション案の生成
  • 写真台帳向けにまとめる

などの“整理”ができます。


8) 積算の“比較・差分”を出す(最終判断は人)

AIに積算を丸投げは危険ですが、

  • 前回見積との差分抽出
  • 金額・数量の増減理由の候補出し
  • 明細の粒度・構成の違いの可視化

みたいな比較の下処理はかなり使えます。


9) 問い合わせ対応の補助(社内QA)

「この書類ってどこ見ればいい?」
「このルールって誰が決めた?」
AIが社内文書を参照して回答の“候補”を返すだけでも、現場は助かります。


10) 経営・工事部の“見える化”の準備

AIはダッシュボードそのものより、
集計できる形にデータを整えるのが得意です。

  • 現場別の原価・進捗・工期の材料をそろえる
  • 月次資料の作成負担を減らす

逆に、AIが苦手なこと(ここを誤解すると炎上します)

AIが苦手①:責任のある判断(承認・安全・品質の最終決定)

AIは自信満々に間違えることがあります。
「それっぽい」回答が出ても、根拠が薄いと危険。

AIが苦手②:入力が汚いままの自動化

スキャンが傾いてる、写真が暗い、書式が崩れてる、ルールが未整理。
この状態だとAIの成果もブレます。

AIが苦手③:社内ルールが言語化されてない領域

「ベテランが暗黙に判断してる」部分は、
そのままではAIに渡せません。先に“判断材料”を整理する必要があります。


超入門のすすめ方:失敗しない導入ステップ

Step1:まずは「探す・転記する・整える」のどれかを1つ減らす

いきなり全社DXではなく、1業務の1ムダから。

Step2:AIに渡す前に“最低限の型”を決める

  • ファイル名ルール
  • フォルダの置き場所
  • 最低限の項目(案件名・日付・担当など)

これだけで精度が上がります。

Step3:最終判断は人、AIは“根拠付きの候補”を出す役

「自動化」より「半自動で速く・ミス少なく」が現実的です。


よくある質問(超入門)

Q. 生成AIって、現場でも使える?

使えます。ただし「文章を書くAI」より、現場の情報を整理して渡すAIの方が効きやすいです。

Q. 結局、何から始めるのが一番いい?

多くの会社で最初に効くのはこの3つです。

  • 書類の転記・整理(見積/請求/報告)
  • 検索できる状態にする(探す時間を減らす)
  • 日報・議事録の要点整理(共有の質を上げる)

最後に:建設業のAIは「魔法」じゃなく「整理整頓のプロ」

AIは“すごい答え”を出すもの、というより
現場とバックオフィスの間にある混乱を減らすものです。

そして建設業は、その混乱が大きいぶん、効くポイントも多い。

「うちだとどこが一番効く?」を見つけたいなら、まずは

  • 書類が集まる入口
  • Excel転記が発生している場所
  • 探すのに時間がかかっている場所

このどれかを見に行くのがスタートです。

Connected Baseのご紹介

「AI-OCR」「RPA」から
“LLM+人の判断”の再現へと移りつつあります。

Connected Base は、日々の見積書・請求書・報告書など、
人の判断を必要とする“あいまいな領域”を自動で処理し、
現場ごとのルールや判断のクセを学習していくAIプラットフォームです。

これまで人が時間をかけて行ってきた仕分けや確認を、
AIとルール設定だけで再現・蓄積・自動化。
単なる効率化ではなく、「判断の継承」まで含めたDXを実現します。

現場の知恵を未来につなぐ──
その第一歩を、Connected Baseとともに。

👉 https://connected-base.jp/

ベイカレントにてIT・業務改善・戦略領域のプロジェクトに従事。その後、株式会社ウフルにて新規事業開発を担当し、Wovn Technologiesでは顧客価値の最大化に取り組む。AIスタートアップの共同創業者としてCOOを務めた後、デジタルと人間の最適な融合がより良い社会につながるとの想いから、株式会社YOZBOSHIを設立。2022年2月より現職。