ベテランが“一瞬で気づくこと”を、新人はなぜ見落とすのか。
新人が資料を作り、先輩に見せる。
先輩は数秒眺めて、こう言う。
「ここ、危ないね」
「この前提、ズレてる」
「この数字、信じないほうがいい」
新人は内心こう思う。
“え、どこが…?”
これはセンスの差ではなく、見えている世界の解像度が違うだけです。
そして、その違いにはちゃんと理由があります。
1. 新人は「文字」を見て、ベテランは「構造」を見ている
新人は資料を読むとき、まず文章や数値に目が行きます。
一方、ベテランは最初にこういうものを見ます。
- 何が結論で、何が根拠か
- どこが前提で、どこが推論か
- どこにリスクが潜むか
- 誰が困る(怒る)か
- この資料は「意思決定」に足りるか
つまり新人は情報の粒を追い、ベテランは情報のつながりを追う。
だから、ベテランは“違和感”を一瞬で拾えます。
2. 「見落とし」は注意力不足ではなく、探索範囲の狭さ
新人が見落としやすいのは、だいたい次の3つです。
① 重要だけど、書いてないもの
- 契約条件の例外
- 免責・責任分界点
- その数字の「定義」
- データの欠損・偏り
書いてないから、見えない。
でもベテランは“書いてないこと”こそ疑います。
② 書いてあるけど、意味が変わるもの
- 単位(税抜/税込、円/千円、m2/坪)
- 期間(今月/累計、見込み/確定)
- 主語(誰の責任?誰がやる?)
新人は“読めた”で止まる。
ベテランは“解釈が一意か?”まで見る。
③ 書き方の揺れが生む事故
- 似た言葉(「値引」「調整」「サービス」)
- 同じ意味の別表現(「山留」「山留費」「仮設山留」)
- 会社ごとの呼び方(「出来高」「進捗」「売行」)
新人は「同じように見えるもの」を同じ扱いにしがち。
ベテランは「同じように見えるものほど危ない」と知っています。
3. ベテランが持っているのは“知識”より“失敗の地図”
新人が見落とすのは、まだ地雷マップを持っていないからです。
ベテランは過去に、
- その数字を信じて炎上した
- その前提を見落として手戻りした
- その一文の曖昧さで揉めた
- “誰がやるか”が抜けて止まった
…みたいな痛みを経験していて、
脳内に「ここが危ない」という優先順位付きチェックリストができています。
だから一瞬で気づきます。
見ているのは資料ではなく、事故の予兆です。
4. 新人が“気づけるようになる”最短ルートは「観点」を借りること
経験は時間がかかります。
でも、観点は先に借りられます。
新人が明日から効く「ベテランの観点」を3つだけ渡すなら、これです。
観点A:これは誰が決める資料?
- 決裁者が欲しいのは「結論」と「判断材料」
- “説明”が多いほど、意思決定が遅れることがある
観点B:この数字の定義は何?
- 税抜/税込、対象範囲、期間、確定/見込み
- 「同じ数字でも意味が違う」が一番危険
観点C:揉めるのはどこ?
- 例外条件、責任分界、期限、成果物定義、検収条件
- “書いてないこと”が揉めポイント
この3つを毎回チェックするだけで、
新人の「見落とし」は目に見えて減ります。
5. それでも埋まらない差がある。そこが“属人判断”の正体
ただ、現場にはどうしても残ります。
- 会社ごとの暗黙ルール
- 取引先との歴史的経緯
- 「この担当者はここで怒る」みたいな癖
- 書類の癖、フォーマットの癖、言葉の癖
これらはマニュアル化が難しい。
だから現場では最後にこうなる。
「念のため、○○さんに見てもらって」
この“最後のひと目”が、組織の品質を守っている一方で、
属人化を固定化させてもいます。
6. 結論:新人の問題ではなく、「判断が共有されていない」問題
新人が見落とすのは、新人が悪いからではなく、
ベテランの頭の中にある「判断の型」が共有されていないからです。
- ベテランは“地雷マップ”を持っている
- 新人は“地雷があることすら知らない”
- だから見落とす(当然)
解決策は根性論ではなく、
判断観点を資産として残し、再利用する仕組みです。
チェックリストでもいい。レビュー観点集でもいい。
できれば、案件や取引先ごとに「いつも揉めるポイント」を記録していく。
ベテランの“一瞬の気づき”は、
本来、チーム全員のものにできます。
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